M-DISCとは何か?
M-DISCは、従来のDVDやブルーレイとは異なる、長期間のデータ保存を可能にする光学メディアです。
このメディアは、特殊な記録層を使用しており、データの耐久性を大幅に向上させています。
開発は、データの長期保存が求められる企業や研究機関のニーズに応えるために始まりました。
通常の光学メディアが数十年でデータの劣化が起こるのに対し、M-DISCは1000年以上のデータ保存を実現するとされています。
他の光学メディアとの比較
特徴 | M-DISC | 標準DVD | ブルーレイディスク |
---|---|---|---|
素材 | 特殊な無機記録層 | 有機染料 | 有機染料 |
寿命 | 最大1000年 | 10-30年 | 20-50年 |
容量 | 種類による(BD-R XLでは最大100GB) | 最大4.7GB(単層) | 最大50GB(二層) |
耐久性 | 高い(光、熱、湿度に強い) | 中程度 | 中程度 |
互換性 | 書き込みにはM-DISC対応ドライブが必要、読み取りには標準ドライブで可能 | ほとんどのDVDドライブと互換性あり | ブルーレイドライブと互換性あり |
コスト | 標準DVDやブルーレイディスクより一般的に高い | 低い | 中程度 |
使用用途 | 長期データアーカイブに理想的 | 一般的な使用、短期データ保存 | 高解像度ビデオの保存、データ保存 |
経年劣化の速度 | 非常に遅い | 時間とともにデータ劣化の可能性あり | 時間とともにデータ劣化の可能性あり |
M-DISCと従来の光学メディアとの最大の違いは、先にも書きましたが、まずはその耐久性・寿命にあります。
例えば、通常のDVDは持つものでも約10〜30年、ブルーレイは約20〜50年のデータ保存が可能ですが、M-DISCはこれを大きく上回る1000年以上の保存が可能です。
また、M-DISCは特別なドライブでのみ書き込みが可能ですが、読み取りは一般的なDVDやブルーレイドライブでも行えます。
M-DISCのメリットとデメリット
メリット:耐久性と保存期間の長さ
重ね重ねになりますが、M-DISCは、その耐久性と長期保存能力が最大のメリットになります。
M-DISCは、一般的なDVD-Rなどの光学メディアとは異なり、色素層や反射層を使用せず、金属酸化物記録膜という独自開発素材を採用しています。
この特殊な記録層のおかげで、光、熱、湿度などによる経年劣化に強く、データの長期保存に最適です。
デメリット:書き込みの際の専用ドライブの必要性と価格
データの書き込みにはM-DISC対応の専用ドライブが必要です。これは、一般的なDVDドライブでは対応していないため、M-DISCを使用する際にはこの点を考慮する必要があります。
また、優れた記憶能力と耐久性を持つがゆえ、ということはなりますが、一般的なDVDやブルーレイディスクとの比較では一枚あたりの価格も高いことが若干のネックかもしれません。
加えて書き込みにあたってのドライブも安価というわけではありません。
読み込むのに必要な専用ドライブ
次の項でより具体的に説明しますが、M-DISCの読み込みに関しては、一般的なDVDドライブでも可能です。
しかし、BD-XLなどの特定のタイプのM-DISCは、XL対応ドライブでしか読み出せないため、使用するM-DISCの種類によっては、対応するドライブを選ぶ必要があります。
M-DISCの種類と必要な機器
話が少しややこしくなってきたので、一度M-DISCの種類と、それぞれに書き出し、読み出しについて必要な機器について表にまとめていきます。
M-DISCの種類 | 容量 | 書き出しに必要な機器 | 読み出しに必要な機器 | 備考 |
---|---|---|---|---|
DVD M-DISC | 4.7GB | M-DISC対応のDVDライティングドライブ | 2005年以降のDVD+R/RW対応ドライブ | 一般的なDVDドライブでも読み出し可能 |
BD M-DISC | 25GB | M-DISC対応のBlu-rayライティングドライブ | 一般的なBlu-rayドライブ | 通常のBlu-rayドライブでの読み書きが可能 |
BD-R DL M-DISC | 50GB | M-DISC対応のBlu-rayライティングドライブ | 一般的なBlu-rayドライブ | 通常のBlu-rayドライブでの読み書きが可能 |
BD-R XL M-DISC | 100GB | M-DISC対応のBlu-rayライティングドライブ(XL対応) | XL対応のBlu-rayドライブ | 100GB以上の大容量ディスクに対応する特別なドライブが必要 |
特にBD-R XL M-DISCの場合、100GB以上の大容量ディスクを扱うため、通常のBlu-rayドライブではなく、XL対応のBlu-rayドライブが必要です。
これは、より多くのデータ層を持つディスクを読み書きするための特別な技術を必要とするためです。
そしてXL対応のプレイヤーはどうしても高額になりやすい傾向にあります。
どのM-DISCを選ぶべきか:使用目的に応じた選択肢
M-DISCを選ぶ際には、使用目的を明確にすることが重要です。
まず大量のデータを長期間保存したい場合は、BD-R XL 100GBが最適です。
このモデルは、決して安価とは言えませんが、なんといっても大容量なので、コスト効率の良い選択とは言えます。
そこまでの容量は必要ないという場合は25GBや50GBで十分かと思います。
25GB、50GBともに先の表をご覧いただければお分かりかもしれませんが、広範なドライブでの互換性を持ち、さらに十分な容量を有しています。
保存したいデータの量と、使用するドライブの種類に応じて、最適なM-DISCを選択することが肝心です。
M-DISCへのデータ書き込み方法
対応ドライブとライティングソフトを選ぶ
M-DISCにデータを書き込むためには、LGエレクトロニクスやパイオニアなどのメーカーが販売する専用ドライブが必要です。
ドライブはについては、M-DISC対応と明記されているモデルを選ぶようにしましょう。
また、ライティングソフトウェアに関しては、B’s RecorderやPower2Go、ImgBurnなどがあります。
これらのソフトウェアは、バージョンによってはBD-R XLに対応していない場合があるため、最新版の使用が推奨されます。
なお、BD-R XLの100GBディスクの場合、Windows環境では実際に保存できる容量は約93.1GB~93.2GBのようです。
これは、光学ディスクのメーカー側とWindowsの容量計算方法の違いによるものです。
M-DISCへのデータ書き込みは、適切なドライブとソフトウェアを選び、基本的な手順に従うことで、安全かつ効率的に行うことができます。
M-DISCの価格と入手方法
M-DISCの価格帯とコストパフォーマンス
価格に関しては、M-DISCの種類や容量によって異なりますが、一般的な光学メディアと比較するとやや高価です。
例えば、バーベイタム社が販売するBD-R XL(100GB)の5枚組は、大容量のために1枚あたりのコストが割安になる傾向があります。
また、新型番の「VBR520YMDP1V1」は、耐久性が向上しているにも関わらず、価格差は数百円程度と小さいため、コストパフォーマンスを考えるとこちらがおすすめです。
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